お抹茶は今や飲むだけではなく、ソフトクリームやアイスクリーム、ケーキやクッキーなど、幅広く使われている食材の一つです。
抹茶を純粋に飲みたい!と思った時、薄茶用、濃茶用と書いてある抹茶を見て、
「どちらが美味しいのか?どちらを買えばいいのだろう?」と迷ったことはありませんか?
薄茶用の抹茶、濃茶用の抹茶の違い、そして、普段はどういう抹茶を使うのがいいのか?について、お伝えしていきたいと思います。
薄茶とは何?薄茶の由来と点て方について
薄茶(うすちゃ)、また、茶道をされている方は、お薄(おうす)と呼んだほうが親しみやすいでしょうか?
薄茶は大寄せの茶会や、抹茶専門のカフェでもでてくる、一般的なお抹茶です。
薄茶の点て方
薄茶の点て方、簡単なんですが、実は奥が深かったりします。
それでは、さっそく点ててみましょう♪
1. 茶碗をお湯で温めておきます。
2. 茶碗に、薄茶用の抹茶を茶杓1杯半いれます。
3. お湯を適量入れます。(柄杓の1/2くらい)
4. 茶筅で薄茶を点てます。
さらさらした状態の、いわゆるお茶ですが、表千家では点てたときにあまり泡を残しません。
半月ほどの空間ができるくらいのたて方がちょうどよいとされています。
こんな感じですが、私はお稽古でこのようにお抹茶を点てれたことは一度もないです(*ノωノ)
ゆるく点てるというか、茶筅をふる回数を減らせばもちろん泡はたたないんですが、そうするとお抹茶がダマになって残ってしまうのでは?と思い、
泡があまりたたないように、それでいて、ダマも残らないように・・・
と意識して茶筅をふっていると、、気が付けば大抵下のような薄茶に仕上がります。
前面にうっすらと泡が・・・
ラテのようにこんもりというでもなく、三日月でもなく・・・
表千家として学んでいるものとては、ちょっぴり残念な泡具合です(^-^;
抹茶の泡はどれくらいあればいいの?
お茶は、美味しく飲めたらそれでいいのだけれど、流派で点て方やお茶の銘柄の好みというのがあるんですね。
表千家は、あまり泡をたてずにお茶を点てます。
裏千家は、ラテのようにたくさん泡をたてます。
ラテのように泡をたくさん点てると、抹茶の苦みがマイルドになる効果があります。
裏千家のお好みのお茶は苦めのものが多いからたくさん泡を点てると聞いたことがあります。
確かに、私がいつもお稽古で飲んでいる表千家の好みのお茶より、大寄せなどでいただく裏千家のお茶は、少し苦みがあるように感じます。
濃茶とは何?濃茶の由来と点て方について
濃茶は茶道の主役です。
茶道のというより、茶事といったほうが適切ですね。
茶道のお稽古では、茶事を行うための割り稽古をしている状態です。
席入りから始まって、炭点前、懐石、中立、お菓子をいただいて、濃茶、そして最後に薄茶で茶事は終わります。
茶事は、4時間ほどでですべてが終わるように段取りされています。
この一番のクライマックスが濃茶を頂くときなんですね。
私はこのことを初めて知った時、
「懐石が主じゃないんだ~!お酒もいただくし、一番時間がかかるのに~!!」っと大層びっくりしたものです。
濃茶を頂く前に少しお腹に食べ物を入れておこう、というのが懐石の目的です。
濃茶はとてもお茶が濃いので、いきなりお腹にいれるとびっくりするからと教わりました。
濃茶の点て方ですが、濃茶はその時のお客の人数分、全部を1つの茶碗でいただきます。
なので、3人だったら3人分、多くて5人分くらいまでで、もし、お客が8名だった場合は、4人分を2つ点てます。
濃茶を1つの茶碗を回して飲むのはどうしてか?
濃茶は3口飲んだらつぎの人に回します。
なので、最初に飲む正客は、少し少な目に遠慮して飲む場合もあります。
飲んだ後、茶碗の飲み口を懐紙で拭いて清めますが・・・
でも、これ、ちょっと抵抗ある人いませんか?
私も最初びっくりしました。
同じ社中で、女性同士だからまぁいっか!と思えたんですが、
男性が入ったりすると、うーん・・・となったりもしたものです。
この濃茶の回し飲みは、利休さんの頃からあったようです。
「茶湯古事談」(ちゃのゆこじだん)には濃茶のことを「吸い茶」と呼んでいます。
そう、濃茶って吸わないと飲めないくらいドロドロとした濃度のお茶なんです。
ちょうど、濃厚なコーンポタージュスープと似たような感じです。
茶杓3杯の濃茶が一人分なんですが、これ、結構すくないんですね。
でも、じっくり練るので時間はそこそこかかります。
それを人数分点てるとなると、大変なことですし、一人分だとお湯の分量が少なすぎて、お茶の温度もさめやすい。
そんなところもあって、濃茶を人数分まとめて練るとなったのかもしれません。
そういう現実的な理由と、もう一つ大切な人本陣ならではの感性がここにあります。
「同じ釜の飯を食う」って言葉聞いたことありますよね?
「一味同心」とも呼ばれています。
お鍋やすき焼きなど、日本人は一つの鍋もの分けながら食べるという習慣があります。
これは、同じ食物を共同して飲食するということで、人間関係がを親しくなり、結束が固まる効果があるという昔かあある風習です。
濃茶にもその「一味同心」の心がはいってるのだと感じています。
濃茶は薄茶に比べると甘くておいしいお茶です。
美味しいお茶をみなさんで味わうその瞬間に、また素晴らしい景色が見えるのではないかと思っています。
ただ、風邪をひいてるときは、自分から末客になるように申し出るのがマナーですよ(^-^)
あまりにも咳がある人は、お休みか見学だけにするなど、そういう配慮も必要です。
(そのあたりも、先生からのご指導があるかと思います)
濃茶の点て方
家で飲むとなると、1人ということもあるかもしれません。
1人分を点てるのは、お湯加減が実はちょっと難しいのですが、練習にまずはやってみましょう!
1. 茶碗をお湯で温めておきます。
2. 茶碗に、濃茶用の抹茶を茶杓3杯分いれます。
3. お湯を適量入れます。(柄杓の1/3以下くらい)
4. 茶筅で濃茶を練ります。
濃茶は薄茶と違い、お茶を練るといいます。
どろっとしてて濃いので、しゃばしゃばと点てることはできないんですね。
つややかでとろとろの濃茶に仕上がったら、大成功です。
私は、濃茶は家で大抵2人分以上作ります。
で、飲むだけでなく、レディボーデンのバニラアイスにかけて食べたりして楽しみますよ♪
表千家お稽古で使われてる銘柄
お抹茶も、さまざまな種類があって、どれを購入したらいいか、迷いますね。
表千家でも、たくさんの銘柄のお茶がありますが、私がよく飲んでるお茶を少しご紹介しますね。
薄茶の銘柄
小松の白(こまつのしろ)
お茶銘: 小松の白(こまつのしろ)
お詰め: 上林(かんばやし)
価格: 1600円(40g)
小松の白は、私がお稽古で初めて飲んだお茶でした。
薄茶を点て、それを正客の役の先輩がいただき、お茶銘は?と尋ね、「いつものね、小松の白よ」と先生がおっしゃっていたのをよく覚えています。
※ Amazonでは現在は取り扱いがないようです
瑞雲(ずいうん)
お茶銘: 瑞雲(ずいうん)
お詰め: 三幸園(さんこうえん)
価格: 2000円(30g)
ちなみに、お茶事はもちろんのこと、大寄せのお茶会でも、お茶名とその製造元を訪ねます。
このとき、お茶の名前(商品名)を訪ねるときは、お茶名は?といいます。
お茶の製造元を訪ねるときは、「お詰め(おつめ)は?」と尋ねますよ。
お詰めって、茶道をしていない人はなかなか聞きなれないかもしれませんが、意味が2つありますよ。
一つは、茶事で一番最後に座る末客のことを「お詰め」ともいいます。
正客の次に大切な役割があるので、大役なんですよ。
そして、次に、今回のお茶の製造元の「お詰め」です。
お茶は昔は茶壺に詰めていたので(今ももちろん詰めていますが、一般消費者に届くときは壺の状態はあまりないです)、
茶壺に詰める作業から、お詰めと呼ばれるようになったようです。
濃茶の銘柄
瑞宝(ずいほう)
お茶銘: 瑞宝(ずいほう)
お詰め: 上林(かんばやし)
価格帯: 2100円(40g)
瑞鳳は表千家14代宗匠の而妙斎(じょしんさい)のお好みの濃茶です。
私が初めていただいた濃茶がこの「瑞宝」です。
甘くて、後味もすっきりとしていて、とても大好きなお濃茶です(^-^)
祥雲の昔 (しょううんのむかし)
お茶銘: 祥雲の昔 (しょううんのむかし)
お詰め: 柳桜園(りゅうおうえん)
価格: 2900円(40g)
祥雲の昔も、而妙斎(じょしんさい)のお好みの濃茶です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
薄茶と濃茶の違いについてまとめてみると・・・
薄茶 ⇒ 茶杓1杯半
濃茶 ⇒ 茶杓3杯
普段はどちらを飲むのがいいのか?と思う方もいかもしれませんが、
その日の気分でどちらでも楽しんでみたらいいと思いますよ。
ただ、お濃茶向きのお茶があるので、その点だけ意識してみたらいいのかもしれませんね!
お濃茶は薄茶に比べて甘いものが多いですが、産地によってまた香りも様々あります。
色々と試してみて、自分好みのお茶を見つけるのも、ステキですよね!
コメント