高砂芙蓉(タカサゴフヨウ)生け方と育て方

茶花 高砂芙蓉 生け方 季節 育て方


高砂芙蓉は、南アメリカ原産で、細長い葉の先が鏃(やじり)のように尖っていて同じアオイ科で別属のボンテンカに似ていることからヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)という和名を与えられました。

花径5cmほどの白い一重の5弁花で、基部に濃い赤紫色の模様が入るのが特徴です。
花弁の裏側には放射状に赤い筋の花脈が走る。花の雰囲気がフヨウ(芙蓉)やムクゲ(木槿)などアオイ科フヨウ属の花に似ていることから「タカサゴフヨウ(高砂芙蓉)」という別名を持ちます。
茶花としては、こちらの高砂芙蓉として有名ですね。

ムクゲに似ていますが、ムクゲよりも小さく控えめで涼しげな印象から、夏の茶花として人気があります。

茶花として使う季節

茶花 高砂芙蓉 生け方 季節 育て方

高砂芙蓉の開花期は7~9月頃なので、夏の茶席にふさわしい花です。
一日花ですが、毎日次々と咲くため、長く楽しめます。

花の選び方

茶花 高砂芙蓉 生け方 季節 育て方
高砂芙蓉は水揚げが良い方ですが、より長く美しく保つために、以下の点に注意します。

切り方: 朝夕の涼しい時間帯に切り、風に当てないように持ち帰ります。
深水: 切り花を深めの水に浸し、十分に水を吸わせます。
水切り: 水中で茎を斜めに切り直すことで、切り口からの吸水を促します。
余分な葉の処理: 水分の蒸発を防ぐため、水に浸かる部分の葉は取り除きます。

生け方

茶花は一種か二種を基本としますが、風炉の季節は様々な草花を寄せて良いとされています。
茶花は、自然の趣を重んじ、無理に造り込まないのが基本です。ですので、高い位置のものは高く、低い位置のものは低く。
華道ですと、大きい花は下の方に生けたりしますが、茶花の場合はそうでもないのです。

茶花 高砂芙蓉 生け方 季節 育て方
他の花と合わせる場合は、控えめな草花を選ぶと良いでしょう。例えば、吾亦紅(ワレモコウ)や金水引(キンミズヒキ)などと合わせて生けられることがあります。
花入れは、夏の茶席に合う、涼しげな素材(竹や籠など)を選ぶと季節感が出ます。
高砂芙蓉は、その素朴で優しい佇まいが茶の湯の精神に通じるため、夏の茶席を彩るのにぴったりの花と言えるでしょう。
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高砂芙蓉の育て方

高砂芙蓉は、アオイ科の半耐寒性低木で、比較的育てやすいとされています。

日当たり

日当たりの良い場所を好みます。花をたくさん咲かせるためには、十分な日照が必要です。

水やり

鉢植え: 春から秋の生育期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。冬の休眠期は、乾燥気味に管理し、土が乾いたら水を与えます。

地植え: 根付いてしまえば、基本的に水やりは不要です。ただし、雨が降らず乾燥がひどい場合は水を与えましょう。

水はけの良い土を好みますが、夏の乾燥を嫌うため、腐植質に富んだ保水力のある土壌が適しています。赤玉土と腐葉土(またはバーク堆肥)を7:3で混ぜたものが良いでしょう。
半耐寒性のため、霜が降りる地域では、冬は日当たりの良い室内に取り込み、最低温度5℃くらいを保つようにします。寒風が当たらない場所を選ぶと良いでしょう。関東以西の暖かい地域では地植えも可能です。

肥料

地植え: 特に肥料は必要ありませんが、花付きを良くしたい場合は、春に芽が動き出した頃に緩効性肥料を施します。暖地では、12月~1月に寒肥として固形油かすなどの有機質肥料を施すこともあります。

鉢植え: 元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込み、開花中は薄めた液肥を10日に1回程度与えると良いでしょう。肥料切れを起こすと葉色が悪くなることがあります。

植え替え・株分け

時期: 3月下旬~5月が植え付け・植え替えの適期です。暖地では秋でも可能です。

方法: 根鉢より一回り大きな植え穴を掘り、腐葉土や完熟堆肥を混ぜたものを穴の底に施してから植え付けます。植え付け後はたっぷりと水を与え、土と根をなじませます。高砂芙蓉は成長すると2~3mになるため、鉢植えよりも地植えが向いています。

病害虫

特に目立った病害虫は少ないとされています。

花後

剪定時期: 花芽は春に伸びた枝につくため、剪定は冬の落葉期に行います。芽が動き出す前に済ませるのがポイントです。遅れると花が付きにくくなります。

剪定方法: 樹形を整えながら、混み合った枝は根元から切り除き、株全体に日光が当たるように剪定します。刈り込むことも可能です。

まとめ

“梵天花”は 日本に珍しいものなので 梵天(インド)から来た花だろうという意味です。
別名のタカサゴフヨウ(高砂芙蓉)は 台湾のフヨウという意味です。

さて、何故高砂とつくのでしょうか?
実は高砂は台湾を意味します。
高砂国(たかさごこく)は、16世紀から19世紀頃の日本で用いられていた台湾の別名です。
原産地は南米のブラジル、ボリビア、アルゼンチンなど。
日本には観賞用の園芸植物として1980年代前後に入ってきました。

高砂芙蓉は、中輪の花なので、それだけ生けても様になりますし、他の草花と生けてもうるさくなくて、とても扱いやすいお花です。
育てるのも比較的簡単ですから、家にあるととても重宝しますよ。

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