茶筅の歴史と種類について

茶筅 表千家 種類 国産 中国産
抹茶を点てる道具、茶筅。500年前に誕生し、その技術は一子相伝で、技を盗まれぬよう夜中に作られていたと言います。
消耗品でありながら、手間暇かけて作るその工程や出来上がりの美しさに、日本ならではの美意識を感じますね。
まずは、その歴史と産地から見て行きましょう。

茶筅の歴史と主な産地

茶筅というと、奈良県高山町が産地として有名ですね。
調べてみると、現在、国内生産量のほぼ100%を占める、日本唯一の茶筅の産地です。
生産数は、年間約30万本です。
高山茶筅は、国の伝統的工芸品にも指定されています。

茶筅は500年以上の歴史を持ち、現代まで伝統的な製法が受け継がれています。
茶筌が作られたのは、室町時代の中頃のことです。高山城主の次男宗砌が親友の村田珠光に依頼されて作ったのが始まりと伝えられています。

茶筅の種類

流派による違い

茶道の主な流派である表千家、裏千家、武者小路千家では、使用する茶筅の素材や形状に違いがあります。
また、茶筅の穂数は多くなるほどにお茶を点てるのは早いものの、茶筅の持ち手部分が太くなります。
一般的には、70本前後の数穂か、八〇本立が使われることが多いです。

表千家
煤竹(すすだけ)の茶筅を使用。
煤竹は、囲炉裏の煙で燻された竹で、独特の色合いと風合いがあります。
煤竹が最近はなかなか取れず、加工されて煤竹のような風合いのものが使われたり、中国の煤竹が使われたりして作られたりもしているようです。
中国産でもかなり高額です。

煤竹がなかなか取れなくなり、表千家では実際のお稽古では、白竹の数穂を使うことが一般的です。
煤竹の茶筅は、茶事や大寄せの茶会や初釜で使ったりすることが多いです。使い古した煤竹はお稽古でお濃茶用にしたり。
消耗品でありながらも煤竹の茶筅は2万近くにもなり高価なので、使い分けるといいですよね。
黒竹を代用することもあります。

裏千家
白竹または淡竹(はちく)の茶筅を使用。
穂先が内側に曲がった形状が特徴です。

武者小路千家
紫竹(しちく)または黒竹の茶筅を使用。
穂先がまっすぐな形状が特徴です。

表千家の茶筅の主な種類

真数穂(しんかずほ)
穂数が70本前後で、穂先がまっすぐな形状。
薄茶に使われることが多く、きめ細かい泡を立てやすい。

数穂(かずほ)
穂数が70本前後で、穂先が少しまるまった形状。
濃茶・薄茶どちらにも使えます。
スタンダードで扱いやすい茶筅です。

また、穂数が少なく、穂先が太く荒い形状の荒穂(あらほ)に関しては、濃茶に使われ、茶筅の穂が折れにくく、茶を練りやすいとのことですが、
私自身、使ったこともなく、使っているのを見たことがないので、お稽古や茶事で使われることは珍しいのでしょう。
どちらかというと濃茶をたくさん練る時に使われるらしいので、初釜などで濃茶をたくさん練る時などに登場しても良いのかもしれませんね。
ただ、うちの先生は、真の数穂(煤竹)です。先生が練るのでよくわかりませんが、良い物でしょうから割れたりもしにくいのでしょうか。

国産と中国産の違いについて

最近は、中国産や韓国産の茶筅が売られていることがあります。
原因は、煤竹が日本ではなくなってきていることもありますが、昨今のコスパ重視の商品化もあるのでしょう。
消費者側からすると、安いのは嬉しいですが、かといって品質が著しく悪く、安物買いの銭失いにはなりたくないですよね。

それでは、国産のものと、その他外国産のものを比較していきましょう。

国産茶筅

メリット
高品質:伝統的な製法で作られており、穂先の繊細さや耐久性に優れています。
きめ細かい泡:穂先のしなりが良く、きめ細かい泡を立てやすいです。
茶碗を傷つけにくい:穂先が柔らかく、茶碗を傷つけにくいです。
製造過程や作り手について情報を得やすい点で信頼性が高いです。

デメリット
価格が高い:職人の手作業で作られるため、比較的高価です。

外国産茶筅

メリット
価格が安い:比較的安価に入手できます。
入手しやすい:量産されているため、手軽に入手できます。
練習用として使用しやすい。

デメリット
品質にばらつきがある:製品によって品質に差があります。
穂先が硬いものがある:穂先が硬く、泡立ちにくい場合があります。
穂先が折れやすいものがある。
耐久性が低いものがある。

国産と外国産どちらを選ぶべきか?

本格的な茶道を楽しみたい方や、高品質な茶筅、そしてより美味しい抹茶を飲みたい人は、国産茶筅がおすすめです。
初心者の人や、手軽に抹茶を楽しみたい方には、外国産茶筅でも十分でしょう。

ただ、抹茶を、一期一会でいただく機会に、品質の悪いお茶だったり茶筅だったりすると、少しもったいないような気もします。
こればかりは、その人の好みというか、都合もありますが、やはり、できるだけ国産の茶筅を使いたいものです。
使うことによって、技術者も育つのですから。

コメント

タイトルとURLをコピーしました